北海道2005 レポ Part 2 消えゆく鉄道のフォークロア

   今回、わずか5連休という短い休暇で北海道にむかったのは、来年3月で
   廃止となる、ちほく高原鉄道(旧・国鉄池北線)に乗るのが主な目的でした。
   なぜ、そこまでして行くか・・・人に説明するのは、容易ならざることだが、
   強いて言うならば・・・懐かしいから・・・なのだ。

     近くに誰も住んでいない駅・・・夏草におおわれた場所・・・
     木造プレハブの駅舎・・・長い年月で摺れてしまった改札・・・

     それでも、かつては多くの人の往来があり、賑わったはずの場所。
     多くの人々の想いが交錯した場所。
     そんな、遥かな年月の積み重ねの上に無人となり果てた場所に、
     そして、その巨大な時の壁の前に、ひとり、立ち竦むという感傷。

   湧網線(廃線)
   *芭露駅跡
    サロマ湖の西側に存在する駅。サロマ湖や能取湖の周辺をめぐりながら
    走る湧網線の列車の車窓は、さぞかし雄大な風景が広がっていたのだろう。
    そんな中、殆ど完全な形で残っているという、この駅を訪ねた。
    じわり、焼けそうな大気の下、何十年にもわたって立ちつづける駅舎。
    綺麗に整備された花壇の花。地元住民にいかに愛されているかを知る。
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    改札の手摺。いったい何人の人が握ったのか・・・長い年月の末。
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   *計呂地駅跡
    ほとんど完全な形で残されているだけではなくて、SLまであるやないか。
    スノーシェードまで被せてもろて、サロマ湖を見ながら、これからも長い年月を
    過ごして行くんやな・・・
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   *不詳
    ワッカ原生花園に向かう角に、突然現れた古びた客車。
    極彩色の世界に突如現れた、時の止まった世界。
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   ちほく高原鉄道('06/3廃線予定)
   *川上駅
    山間にぽつりと存在する駅舎の存在感、周囲の自然の濃さ、そして圧倒的な
    空間の広がり・・・実に北海道らしい風景が見るものを圧倒する。
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    本当の意味で閑静な駅舎で、ぼけーっと駅ノートを見ていたら、こんな書き込みがあった。

     「7/30(土)/わたしが産まれた所です/わたしの家はなくなってました/
     昔、汽車を止めてしまったことがありました/生きてて良かったです/
     二人の子供と主人と旅行中です・・・」


    たとえ誰も居なくなっても、このように想いが交錯しつづける場所があること。

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    さらにぼうっとしていると、駅の前に車が止まって初老の男性が出てきた。

     「駅を見に来たのですか」  「ええ」
     「・・・懐かしいなぁ・・・ここ・・・」  「いい雰囲気ですよね」
     「昔、ここの鉄道の運転手やってたんだ、ほんとうに懐かしい・・・」  「・・・・・・」


    私は、その初老の男性の時の重みの前に、沈黙せざるを得なかった。
    旅行者に過ぎない私に、なにが言えようか。

   *分線駅
    誰も降りない。誰も乗らない。
    すぐ傍に国道が走り、往来もひっきりなしなのに、いるのは、ただ、牛だけ。
    ほったて小屋のような待合室で、おにぎりを食べた。
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   *薫別駅
    ちほく線最強の無人駅として名高い、薫別駅。
    ホームは板張りのみというのは言うに及ばず、少し離れた草叢にぽつんとある
    待合室が壮絶な雰囲気を醸し出している。国道からも離れた場所にあり、自然の
    音しか聞こえない、本当に静かな場所だった。
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    そして天然の丸い木を使って作られたベンチ。
    牛山氏(「秘境駅に行こう」の著者)の本に出てくるのを見ていたが、
    まさか自分がここに座ることになろうとは思いもしなかった。
    駅ノートを見ていると、ごく最近に牛山氏の書き込みがあるのを見て感動。
    氏曰く、

     「本当にこの駅は価値があると思います。人として忘れてはならない物を
      無言で語りかけて来る気がします・・・今度来た時には、おそらく廃線
      となってしまって、ここも取り壊されてしまう」のでしょうか?出来れば
      自然に朽ち果てるまで、そのままにしていただきたいものです・・・」


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    確かに、こういういい雰囲気ものは、いつまでも残っていてもらいたいものだ・・・

   *大誉地駅
    硝子戸の向こう、扉の向こう・・・時の続きにぼくらはいるから。
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PENTAX *ist Ds / CZJ MC FLEKTGON 35mm/F2.4 (計呂地のみDA16-45mm/F4)
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Commented by さらさらさらら at 2005-08-06 13:11 x
 北海道は別世界だねっ。なんというか昔の日本がそこにある感じ。
私も一度は行ってみたいなぁ。この時期の暑さを逃れてもいいし、
秋から冬にかけての食べ歩きも魅力的。駅の写真はAIRにでてきそうな
趣のある駅だにぃ。何も考えず、ただ見知らぬ土地を歩くのもいいねぇ。
日本も海外みたいに仕事そこそこで私生活を大事にできると
もっとすごしやすくなると思う。あーあ、旅行行きたいなぁ。
Commented by うゆ at 2005-08-07 00:58 x
高校の修学旅行で一週間ほど滞在したことのある北海道ですが、大人になってから、絶対またきてやるぞと思い、未だ果たせていません。
何回も行きたくなる気持ちは、たった一度訪れただけの私にも解ります。食べ物がウマイとかだけじゃなくて、北海道って時間の流れが明らかにちがうんですよね。とくにゆっくりというわけでもなく、かといって決してはやくはないんですが。異次元というべきか。

川上駅の男性は、たぶん駅を見に来てくれた人がいることが、
すごく嬉しかったんじゃないなあ。

土地や場所への思い入れっていうのは、そこで過ごした時間の長さが問題なのではなくて、その場所でどれだけ自分が頑張れたか、ということにあるんじゃないかな。
そのときは解らなくても、「ここで俺がんばってたわー」っていう思いがあとになってわいてくるんやないかと、思うわけです。

駅の職員の人は、お客さんたちの小さなドラマを(たとえ小さな駅で限られた人しか利用してなくても)、たくさん見てきたんだろうねえ。

他の駅の写真も、みんなそんな「想い」の残滓が写っている気がします。ええもん魅せてもろたー.。゚+.(゚∀゚*)。+.゚
Commented by yuzu_ponz at 2005-08-07 20:49
まいど(´'ω'`n)コメントありがとうございます。

>>さらさらさららさま

>この時期の暑さを逃れてもいいし、
 えっと、晴れた日は、昼は30℃くらい余裕でいきますよ!
 北海道なのに、車のエアコンつけっぱなしでした。
 行くとしたら、9月のはじめくらいがオススメですね。

>駅の写真はAIRにでてきそうな
 えっと・・・お見通しですか。ていうか大気の下なんていう単語でバレバレですね。
 もちろんしゃぼんだま少女など居なくて、柴犬にしこたま吠えられたが_| ̄|○

>日本も海外みたいに仕事そこそこで私生活を大事にできると
>もっとすごしやすくなると思う。
 ヨーロッパだと夏休み2ヶ月くらいとれる仕事もあるとか。(´□`)・・・。

>>うゆさま

>食べ物がウマイとかだけじゃなくて、北海道って時間の流れが明らかにちがう
 ご名答!
 もちろん本州・四国・九州にもそういう場所はありますが、どうしてもいつもの
 生活圏から抜けきれていない感じがするので、結局北海道に行ってしまいますね。
Commented by yuzu_ponz at 2005-08-07 20:49
  <文字数制限きついので分けて連投( ´・ω・)=3>

 一番好きな場所は、やっぱり、利尻・礼文かと思います。海も山も人も。

>土地や場所への思い入れっていうのは、そこで過ごした時間の長さが問題なのではなく
>て、その場所でどれだけ自分が頑張れたか、ということにあるんじゃないかな。
 いいこと言いますね!
 実は、ライフワーク的に行っている場所がもうひとつあり、上越の小さな町
 なんですが、もう5~6回は行ってるかな。これも時間が問題ではなく、一目惚れ
 みたいなもんでした。そういう場所はいくつあっても良いなと。

>他の駅の写真も、みんなそんな「想い」の残滓が写っている気がします。
 正直、このコメントで、ようやく自分がなぜ廃墟に惹かれているのか分かった気が
 します。想いの残滓・・・ですね、確かに。ただ綺麗で雄大で非日常的な風景だけ
 ではなくて、そこにあったであろう人々のドラマあってこそ、なんでしょう。

>ええもん魅せてもろたー.。゚+.(゚∀゚*)。+.゚
 いえいえ、こんな素人写真でお粗末さまでしたヾ(・ω・*)ノ
by yuzu_ponz | 2005-08-05 23:19 | チラシの裏 | Trackback | Comments(4)