北海道2006 Part 3 -台風から逃げてまわる話

  ちゅうことで、第3回目です。やっとこさ!




*5日目:稚内→紋別

e0002817_2032016.jpg
  翌朝、若干遅めに宿を出た。夜半から風雨が強くなり、台風の接近を感じる。
  しかし、ニュースを見る限りでは、まだまだ大丈夫そうだったので、近くの
  レンタカー屋に向かう。予約なんぞない。オフシーズンだから問題ねぇ!

  「1300ccで3日間、小樽へ乗り捨てで頼む」

e0002817_204259.jpg
  とりあえず抜海方面へ抜けて、最後の利尻富士の姿を眺め、豊富温泉方面に抜ける。
  台風に由来する風かどうかわからないが、風速17mの強風のなか、軽いVitzの車体
  はゆらゆらと揺れていた。

  さて、ここからの展開は早い。
  なにせ走ることが目的だからそれをくどくど書いても面白くもなんともないのだ。

   本日の行程
    稚内→抜海→稚咲内→浜頓別→枝幸→乙忠部
    →仁宇布→上幌内→下川→西興部→滝ノ上→紋別

e0002817_2041187.jpg
  経路はなんの予定も無く思うがままに取っていたのだが、廃線跡を入れる
  あたりが、またマニアックである。
  仁宇布はかつて日本一の赤字路線であった美幸線の終点だったところだ。
  車を降りて旧駅舎に向かうと、車が2台。何だろうと思い近づくと2人組みの
  おばちゃんがおっさんに何かの説明を受けている。どうやら、廃線跡を利用
  したトロッコ体験らしい。
  私はただ静かに、積み上げられた枕木と残された線路を眺めていた。

e0002817_2042237.jpg
  下川を後にしたところで、ついに日が暮れた。
  壮絶な夕焼けは、天気の悪化を知らせているのだろうか、それとも・・・
  車中泊で夜を過ごすのは、ほどほどの人が居る道の駅がいい。
  滝ノ上では落ち着きが無かったので、そのまま東進して、紋別の道の駅
  に向かった。ここで、夜を過ごそう。狭い後部座席でひざをまげて眠った。


*6日目:紋別→鹿追

   本日の行程
    紋別→滝ノ上→上川→層雲峡→芽登→置戸→陸別→足寄→鹿追

e0002817_205034.jpg
  朝、起きると壮絶な風景が広がっていた。
  東の果て、ぶ厚い雲の切れ目の向こうに朝日が昇っている。
  はるか彼方に湧き上がった雲とウミネコが舞う風景にしばらく見とれていた。
  こんな風景にあえるから、車中泊はやめられないのだ、と得心する。

e0002817_205949.jpg
  昨日来た道を引き返し、滝ノ上へ向かう。
  目的はふたつ、猪滑線の終点滝ノ上駅の痕跡と陽殖園を訪問することであった。
  滝ノ上駅舎はまだ現存しており、中にはさまざまな遺品が展示されていた。
  それにしても、古い路線図を見るとはっとする。
  この写真に写っている路線のほとんど全てが、いまはもう、無いのだ。
  モータリゼーションの発達と、列車の衰退。その現実を改めて認識する。

e0002817_2053929.jpg
  次に陽殖園へ向かった。昨年、雑誌BE-PALで連載されていた植物園の物語
  を読み、一度は来てみようと思っていたところだ。台風が来ていた日ということ
  もあるのだろうが、客は誰もおらず、私ひとりだけ。
  園内に入ると、園主である高橋さんに迎えられる。「こんな日によくいらっ
  しゃいました」 ・・・なるほど、笑顔がいい。長年、ここ極寒の地で、たった
  ひとりで植物園を育て上げた、男の顔をしている。

e0002817_2055215.jpg
  園内は予想以上に広く、普通に見ると2時間はかかるという言葉の通り、
  見ていて全然飽きが来ない。なにしろ、植物の種類が尋常ではない。
  秋も近いというのに種々様々な花が咲き乱れているのには驚いた。
  それにしても、雨上がりの植物はさぞかし綺麗だろうと思っていたが、
  予想以上の輝きにしばらく呆然と眺めていた。
  2時間という時間などあっという間に過ぎていたのだった。

e0002817_206280.jpg
  園内は無農薬で貫いているというだけあって、虫も沢山いた。しかしそれは全然
  不愉快なものではなく、むしろこれだけの生命を養ってあまりある花々に見とれて
  しまうほどであった。
  一人の男が、何十年もかけ、こういったものを作り上げる、それに値する価値の
  片鱗を少しだけ垣間見た気がした。

e0002817_206138.jpg
  高橋さんとしばらく雑談をし(私の実家は園芸屋なのだ)、陽殖園を辞す。
  その後は、とりあえず激走。昨年訪れたちほく線の「いま」を見ておこうと思ったのだ。

  しかし

e0002817_2062496.jpg
  無情にも、足寄町の少し前で日没。
  せめて、薄明かりの中でもいいから、「あの」川上駅を見ようとひた走ったのだが。
  ・・・なんですか、この30分走って民家ひとつ無い道は。

  ・・・どう見ても道を間違えています。本当に有難う御座いました。
  山ひとつ手前を走っていたよ!

  そして、遠回りながらにも、川上駅に近づいた。
  カーナビの示す位置に近づくが、そこには街灯の一つもない、深い闇だった。
  暗くて、深くて、寂しくて、まるで闇の底にいるようだった。
  私は訳も無く「ごめんね」と呟きながら、通り過ぎた。

e0002817_206342.jpg
  陸別駅で車から降りた。道の駅と兼務していた駅舎はもちろん残っていた
  だけではなく、なんと、汽動車がまるまる横たわっているではないか。
  払い下げる相手もいないのか、とも思う。
  鉄朗とメーテルが描かれた車両も静かに横たわっている。
  長年の役目を終えたものが持つ、もの悲しさ。
  せめて、記憶しておこうと、シャッターを切る。

e0002817_2064473.jpg
  そしてまたまた道を間違えたついでに、陸別天文台の近くで星を見た。
  キャンプ場らしきものもあったが、誰も居らず、漠とした気配の中で星を見る。
  その日は鹿追まで走って、そして昨日と同じように眠った。


*7日目:鹿追→小樽

   本日の行程
    鹿追→狩勝峠→日高→ニ風谷→苫小牧→支笏湖畔→喜茂別→小樽

e0002817_2065235.jpg
  翌朝は快晴。日本三大車窓として有名だった狩勝峠を見に行く。
  もちろん列車ではなく車なので多少は違うのだろうが。
  それでも壮大な風景であることは間違いなかった。
  しかし・・・実を言うともう飽きていたのだ。もう綺麗な風景を見ても、
  なんとも思わなくなった自分、これはマズいなぁと思いながら、ひた走る。

e0002817_207026.jpg
  またもや廃線跡。富内線、振内駅跡かな。
  ここもご多分に漏れず、交通記念館となっており、
  往時を偲ばせる遺品が多数展示されていた。
  しかし、もはやなんとも思わなくなった自分が恨めしい。

e0002817_207816.jpg
  この日はさしたる感動も無く、ただ走りに走っただけ。
  定山渓を過ぎたところで日没。ダムに映った筋雲が秋の到来を思わせる。

e0002817_2071425.jpg
  ちょうど20時前に小樽へ辿り着いたので、予定を繰り上げ返車した。
  総走行距離は1138km、燃費はリッター27.6kmという結果だった。
  小樽駅近くの安宿に投宿し、それでもせっかくだから、と小樽運河の撮影に出た。
  しかし、なんら思うところも無し。アパシー。


*8日目:小樽→札幌

  という訳で、翌朝は遅くまで寝ていた。
  札幌に寄ったものの、ただラーメンを食べただけで撤収することになった。
  昼過ぎの安い飛行機に乗って、羽田へ。

  それにしても、なんだ、この旅はいったい何だったのか、などと、
  もう、考えることはやめにした。
  とにかく、この旅で会った人たち、すべてが、幸せでありますよう。
  と、思いながら、京急の車内で、眠りに、落ちたのだ。

PENTAX *ist Ds / DA16-45, DA21, FAJ 75-300 and MC Flektgon35

[PR]
トラックバックURL : http://yuzuponz.exblog.jp/tb/4371003
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by yuzu_ponz | 2006-10-18 20:37 | チラシの裏 | Trackback | Comments(0)